【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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124:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:20:11.04 ID:eQRkBpc+0

…………………………

「ねえ、お母さん」

「うん?」

 帰ってすぐ、ゆうきは着替えて居間に向かった。お母さんの背中を見たくなったのだ。ブレイはまだ寝ていたから、部屋のベッドで寝かせてある。話を聞くのはその後でいいだろう。

 王野家でゆっくりとお母さんと話せる時間は限られている。

「……どうかしたの、ゆうき」

 その背中はゆうきにとって見慣れたもので、優しい声に心が安らぐ。お母さんはお父さんと結婚する前からずっと、病院で忙しく働いていた。それはゆうきが生まれてからも変わらず、お母さんはきっと、今も病院でたくさんの人に笑顔を振りまいているのだろう。振り返ったお母さんは、やっぱり優しい笑顔で、普通の家庭とは少しだけ違うかもしれないけれど、お母さんはゆうきにとって、しっかりとお母さんなのだ。

「どうかしたって?」

「ゆうきがそんなに色々考えていそうな顔をするなんて、めずらしいから」

「お母さん、それ少し失礼だよ」

「ふふ。ごめんなさい」

 むくれるゆうきに、お母さんは優しく笑って、テーブルについた。

「話があるんじゃないの? 座ったら?」

「……うん」

 お母さんはなんでもお見通しだった。ゆうきは少しだけ改まった感に恥ずかしくなりながら、おもむろにお母さんの対面に腰掛けた。

「ひとつ、聞きたいことがあるの」

「なぁに?」

 どちからといえば、ゆうきはお父さんに似ている。それは外見だけの話ではなく、お母さんは自分と違ってしっかりしているし、そんなお母さんだからこそ、少し抜けたところのある、ゆうきに似ているお父さんを支えてくることができたのだろう。だからゆうきも、少しだけ甘えてみたくなった。

「朝の話なんだけど……」

「うん?」

 自分はひょっとしたらとても弱い人間なのかもしれない。そんな情けな想いが心の中で身をもたげるが、それでもいいだろう。どうせ王野ゆうきという自分は、弱虫でドジで天然な中学生なのだから。

「わたし、変わったのかなぁ?」

「あら、もしかして気にしてたの?」

 いたずらっぽく笑うお母さんの顔は、やっぱり自分にはあまり似ていない。そういう茶目っ気を強く引き継いだのは、お母さんに見た目も似ている妹のともえだ。わがままで傲岸不遜だが、なんだかんだで憎めない、そんな妹にそっくりで、ゆうきは少しだけ腹が立った。

「茶化さないでっ。気にしてたら悪い?」

「ふふ、ごめんなさい」

 謝っているわりには笑っている。憤慨したくもなるが、その前にお母さんが続けた。

「変わった、ね……ええ、私は変わったと思うわよ」

「今朝、ひかるが言ってたようなこと?」

「それもあるわ。ゆうき、あなた最近、私にお節介することも減ったじゃない」

「ま、またお節介って言われた……」

 落ち込みたくもなる。自分はやはりお節介なのだろうか。



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