【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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118:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:13:22.56 ID:eQRkBpc+0

「まぁ、仕方ないわ。私も手伝うから、さっさと貼ってしまいましょう」

「あ……で、でも、悪いよ。わたしが勝手に頼まれただけなんだから……」

「いいから貸しなさい。あなた、そうやって何でもかんでもやろうとするの、悪い癖よ」

「あぅ……」

 半ば無理矢理、机の上のポスター類をめぐみに奪われてしまう。けれどゆうきは、めぐみのその優しさには気づけても、めぐみが気づいているゆうき自身のことには気づかない。

 強引に奪い取られでもしない限り、ゆうきは自分に与えられた仕事を手伝ってもらうことすら拒否してしまうということを。

 人に頼られるのは大得意なのに、人に甘えることは苦手なことを。

 めぐみはそんなゆうきに気づいているから、無理にでも仕事を取り上げる。そうでもしないと、ゆうきは自分が頼まれた仕事を自分ひとりでやる癖をつけてしまうから。

(……なんだかんだで、この子も難儀な子よね)

 めぐみは思っても口にはしない。目の前の優しさが過ぎて天然ですらある相棒は、きっとそんなことを言っても信じることはないだろうから。

「これ、ここでいいかしら?」

「あ、先生が左の方の掲示物は全部剥がして良いって言ってたから、もっと下でも大丈夫かも」

「そう……じゃあ、ちょっと均等な配置を考えてくれるかしら? その通りに私が貼るわ」

「うんっ、りょうかーい」

 そう。きっとなんだかんだで、そんなふたりは凸凹で、けれどだからこそ良い相棒なのかもしれない。

 優しすぎて、少し自分を殺してしまいがちなゆうきと、優しいけれど、素直にそれを表現することが苦手なめぐみ。

 そんなふたりだから、きっと、そう――



「――……うまくいってるんだろうね、有紗」

「そうだね、ユキナ」

 教室の外、廊下からそんなふたりの様子をうかがっていたユキナと有紗が、複雑な顔で笑い合う。

「ゆうきったら、妬けちゃうなぁ。どんどん大埜さんと仲良くなっちゃって」

「いいことじゃないか。私も早く大埜さんと友達になりたい」

「はいはい。さ、いつまでも観てないで、部活行こー」

「ああ、分かったよ」

 真剣な顔でなにやら机と掲示板とにらめっこしているゆうきと、それを苦笑しながら眺めるめぐみ。そんなふたりを尻目に、ユキナと有紗は教室を離れた。

 おーのコンビは、なんだかんだですごいコンビなのかもしれないなと、少しだけ思いながら。



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