24:名無しNIPPER
2017/12/17(日) 18:41:49.65 ID:r1CStY0i0
「……珍しいな、散歩に出たのか」
「天気がいいからね、まあ、面白いものは見つけられなかったけど」
「小遣いは残ってるのか? 駄菓子や飲み物は買ったのか」
「さあ、今日は財布を覗いてない」
何も言わないで五千円札一枚を俺に手渡した。
親父は男手一つで俺のことを育てるのに罪悪感のようなものを抱いている。
俺のことを愛して育ててくれているのは十二分に伝わるが、どうしても母親の愛を受けられない俺のことを哀れだと思っているし、年齢を重ねるにつれて自分が母親に捨てられたという事実を受け入れられなくなるのではと恐れてもいる。
実を言えば、案外すんなりと受け入れたんだ。
小さい頃から割と冷たい性格をしてたから、現実が冷たいってことも理解してた。人間は我儘だってことも知っていた。俺のことを捨てた母親は、母親として生きずに、女として生きた、それだけのこと。
だけど、親父は男として生きずに、父親として生きた。だからこそ、俺は親父を心の底から尊敬している。
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