【モバマス】十年後もお互いに独身だったら結婚する約束の比奈と(元)P
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◆Z5wk4/jklI
[saga]
2017/12/20(水) 21:28:11.58 ID:VIfuC7c00
電話を終えて、千枝はそのままバスルームに向かった。
約束は取り付けた。誕生日から一週間あとのオフの日。『ほぼ』二人きりで過ごせる場所を提案して、ついに折れさせることができた。
熱いシャワーを頭から浴びて、千枝は項垂れて両手で顔を覆うと深く深く息をついた。
「オトナになるのと、ずるくなるのは、違うよね……」
つぶやいた声はシャワーの水滴に溶けて消えた。
わざわざ、今日のこの日を選んだ。大切な人達の運命を決める、最後の一年のカウントダウンが始まる、この日に。
みんながみんな、大切な人と結ばれるとは限らない。コドモの頃は判らなかった。大好きな人と結ばれることができるのは一人だけだということの意味が。
コドモの頃は考えもしなかった。大切な人と、大好きな人を争うようになるなんてことを。
千枝は鏡に映った自分の顔を見る。
そして、ぶんぶんと首を横に振った。
「うん、暗くなっちゃだめ! 千枝、がんばろう!」
自分が一番好きの気持ちが大きいと示す。ただ、それだけ。
千枝は自分を奮い立たせる。はやくオトナになりたいと言うたびに、あの人はたくさん食べて大きくなれよと言って、頭を撫でてくれた。
あの頃から背は伸びて、体つきは女らしく丸みを帯びた。
そうして、大人になった顔と身体と、そして心で、千枝は今を戦っている。
千枝はブルーナポレオンの当時メンバー、松本沙理奈に教わった『オトナのポーズ』をとってみる。
当時コドモだった千枝にとってオトナだった女性たちは言っていた。オトナは誘惑するものなのだと。
今の千枝なら、これで大切な人を誘惑することができるだろうか。
「オトナになった千枝を、見てもらうんだ!」
千枝はそう言って、鏡の向こうの自分に笑いかけた。
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「うう……」
比奈はひとり、自室の作業机に突っ伏して唸った。
「ぜんぜん進まないっス……」
パソコンのモニターには真っ白な画面が表示されている。締切が近いイラストエッセイの原稿だった。
集中して原稿を終わらせたい。なのに、頭の大部分を占めているものが邪魔で集中できない。
比奈は口をとがらせて、スタイラスペンを指ではじいて机に転がした。
「めちゃくちゃ意識してるっスね、アタシ……」
昼間の駅でのことを思い出し、比奈は自分の頬が熱くなるのを感じた。
「……でも、ほんとのほんとに、わかんないっス……」
力なくつぶやく。
恋愛とか結婚といったものは、特別なものだと考えていた。比奈自身と誰かの関係が大きく変わり、これまでの誰よりも近い距離を許すパートナーになること。そのことに現実感が伴ってこない。
瑞樹に問われた『彼じゃだめなのか』という質問の答えはずっと出ない。比奈は思う。恋愛や結婚は『彼じゃだめなのか』ではなくて『彼じゃないとだめだ』ではないのか。少なくとも、これまで芸能界でなにかを演じ、表現する仕事においては、恋や愛はそう表現されるものだった。
彼じゃないとだめなのかどうか。それを真剣に考えるには、ぬるま湯に浸かりすぎてしまった。九年のあいだに、約束のことをあまりにも大勢に知られてしまったし、約束を覆すほどの運命の出会いじみたものは、ついぞここまで起こりはしなかった。
あと一年で自動的に運命が決まるということを多くの人が知っているという事実は、比奈から運命を決めようという意欲を隠してしまったのかもしれない。
このままだと、比奈自身の気持ちすらよくわからないまま、結婚しなくてはならなくなる。
「こーいうのも、マリッジブルーって言うんでしょーか。ハハ……」
乾いた笑いが漏れる。流されるのは、自分のことを想っても、相手のことを想っても、居心地が悪かった。
「どーしたら、いいっスかね……ていうか、そもそもあっちはこの約束のこと、覚えてるんスかね……?」
比奈は呟き、机に突っ伏したまま目を伏せた。
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