6: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 19:42:50.25 ID:TXSil8FD0
【昼、繁華街】
色とりどり多種多様の商品が並んでいる、ショッピングモール。
特に今ボクがいるこの店は最先端のファッションが揃っていて、オシャレな若者たちがよく集う場所らしい。
『らしい』という表現に留めたのはボク自身があまり行ったことないからだ。
どうも明るいカラーの服が好みではなくてね。
美嘉「あ、これかわいー★」
美嘉が店先からベレー帽のような帽子を拾い上げてかぶって見せる。
なかなか似合ってるんじゃないかな。
周子「いいじゃんこれー。フレちゃんはどう思う?」
フレデリカ(飛鳥)「そうだね……うん、いいんじゃないかな」
奏「フレちゃんの反応はイマイチみたいね」
美嘉「うーん、じゃあ他のもみてみようかなぁ」
店内に入り、帽子探しを始める美嘉。
これでイマイチの反応なのか。ボクとしては好意的な感想のつもりだったんだけど……
フレデリカとボクの性格の差を実感してしまう。
フレデリカの性格を一言で言い表すのならば『陽気』だ。
いつも明るく茶目っ気に溢れている。母はフランス人、父は日本人のハーフなのにフランス語は一切話せないらしい。
フランス菓子の名称を必殺技代わりに叫ぶほどだ。けど、そんな脈絡のない会話がとても心地よくて面白い。
それに対してボクは……どうなんだろう。
自分自身を形容する一言を考えようとして、辞めた。渦巻くような気持ちを上手く客観視できない。
今はまだボクらしく生きるだけで精一杯だ。
皮肉なことに人格入れ替わりというアイデンティティの危機が現在進行形で起きているわけだけど。
美嘉「フレちゃん、これはどう?」
フレデリカ(飛鳥)「うん? ボk……」
美嘉「ボ?」
志希「フレちゃーん、『ボ』ってなーに?」
しまった。考え込んでいた時に急に話しかけられたものだからつい素の自分で話してしまった。
なんとかしてごまかさないと……!
ボ……フレデリカ、フレデリカ……フランス、パリ……
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