24: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:13:12.79 ID:TXSil8FD0
部屋の中のレイアウトは一切変わっていなかった。
いつ、元に戻っても問題ないようにしてくれたフレデリカなりの配慮なのかもしれない。
飛鳥(フレデリカ)「アスカ、ちゃん」
彼女がようやく消え入りそうな声で呟いたのは、荒れていたボクの呼吸がすっかり元に戻っていた頃だった。
フレデリカ(飛鳥)「ボクの事が分かるかい、フレデリカ!?」
飛鳥(フレデリカ)「……二宮、飛鳥ちゃん。14歳。静岡県出身。でもお茶は苦手でコーヒーが好き。だけどお砂糖とミルクを少し入れないと飲めないの。苦さを避ける人間の本能があるんだもんね。ヘアアレンジが好きで特にエクステにはこだわりをもっているの。赤、青、黄色、水色、ピンク色、紫色エトセトラ、エトセトラ……本当はまだまだあるんだけどここでは割愛しておくね」
フレデリカ(飛鳥)「そうだ。ボクは二宮飛鳥だ。そしてキミは宮本フレデリカ……!」
飛鳥(フレデリカ)「……」
フレデリカ(飛鳥)「そうだろう……? なぁっ……!」
フレデリカの両肩を掴み揺さぶる。物理的衝撃に意味がないと分かっていても。
飛鳥(フレデリカ)「……」
飛鳥(フレデリカ)「なぁんにも」
飛鳥(フレデリカ)「なぁんにも覚えていないんだ」
飛鳥(フレデリカ)「今アタシの中に残っているのはかつて宮本フレデリカだったという事実の記号だけ。あとはみーんなアスカちゃんの記憶。」
フレデリカ(飛鳥)「フレデリカ……」
飛鳥(フレデリカ)「今までテキトーに生きてきた代償なのかなぁ。アタシのコト全然思い出せないや。……フフッ。笑っちゃうでしょ。」
フレデリカ(飛鳥)「キミは……! 自分を卑下するような笑いをする人物じゃなかった筈だ!」
飛鳥(フレデリカ)「……ゴメンね。アスカちゃん」
フレデリカ(飛鳥)「謝らないでくれ! いつものように……楽しい話をして振り回してくれ。持ち前の元気で、明るく照らしてくれよ! キミがキミらしくいてくれないと……ボクは、ボクは……!」
二宮飛鳥の姿をした宮本フレデリカはただされるがままといった様子で揺さぶられているだけだった。
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