4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 18:29:41.60 ID:bHIAf+4c0
とにかく。
その一年、もとい一日は、スマイリーとの出会いの連続と、スマイリーと僕の確かな分離だった。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:20:17.11 ID:bHIAf+4c0
*****
冬の終わり、あるいは春の訪れ。
僕はある人たちから古い炊飯器を譲り受けた。
それで机の上にあった文房具や電子機器やコードや紙類をひとつところにかき集めて、取りあえず釜に入れて炊飯ボタンを押した。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:31:32.37 ID:bHIAf+4c0
だから僕は炊飯器に身の回りの小物をつめこんで、スイッチを入れた。
そうするしかなかったのだ。
作動の効果音を聞いた瞬間、ある部分で、何かが決定的に間違っていることはぼんやりと頭の片隅をよぎりはした。
けれど、その棚引く靄のなかにある感覚を具現する気力はもとより、その欲望さえもほとんどなかった。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:39:56.72 ID:bHIAf+4c0
スマイリーのことを想う時、僕は必ずこれらのことを思い浮かべる。
白い気球、それを運ぶ白い渡り鳥の声、ひつじ雲、ポップコーン。
今でもそれは変わらない。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:43:19.05 ID:bHIAf+4c0
青い空、無限の天蓋がはるか頭上を覆い、澄み透る空気がぱりっと調和を生み出す。
その光景はいつも決まって穏やかな哀しみの気配に満ちている。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:48:23.59 ID:bHIAf+4c0
ひとつ断っておくと、当時の僕は「スマイリー」という言葉自体全く意識することはなかった。
それは今もほとんど変わらない。
知っていたかどうか、という問いかけに判然とした返答をすることもできない。
でも僕は間違いなく「スマイリー」を、あらゆるもののなかに認めていたことは確かだった。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 20:04:21.55 ID:bHIAf+4c0
*****
僕は一時期、魔法少女たちのアトリエに間借りをしていたことがある。
当の話の一日、あるいは一年も僕はその奇妙なアトリエに住んでいた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 20:15:20.52 ID:bHIAf+4c0
このアトリエは奇妙のオンパレードだった。
家賃も必要なければ、アトリエらしき何かが行われている様子もまるでなかった。
アトリエとはいったい何なのだ?
12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 20:28:11.05 ID:bHIAf+4c0
魔法少女は全部で三人いた。
それぞれピンクのスター、イエローのサンダー、スカイブルーのウィンドという名前だった。
色はたんにイメージカラーというものらしく、名前とは関係ないとのことだった。
彼女たちによれば、
13:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 22:07:10.15 ID:bHIAf+4c0
その日の朝、めずらしく三人は僕よりも早く起きて、朝ご飯の支度をしていた。
いや、たぶんそんなことは初めてだっただろう。
それまでは僕が先に起きて、僕がかかさず朝ご飯を四人分作っていたのだから。
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