【ミリマス】女王閣下をプロデュース
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42: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/12(火) 12:19:32.77 ID:UZlyT6fxo

そしてさらには口に含みたい。その鉄くさい匂いが嫌でも五感を刺激して、
味わわずにはいられないと百合子の本能に思わせた。思わせるだけの妖しい魅力があったのだ。

現に今の百合子の頬はだらしなく緩み、息は荒く、口も半開きのまま呆けている。

はぁ、はぁ、と呼吸をするたびに空気に乗った血の匂いが、
カラカラと干からびたように水気を求める舌の上を撫でて喉奥のまた奥へと降りていく……。

そこにあるのは肉塊だ。百合子の臓腑と結合し、血を求めて蠢く肉塊だ。
その肉塊が彼女の本能に働きかける――「アレは私だ、私の物だ。眼前でだくだくと溢れるあの生き血は私と共にあるべきだ」

「はぁ、る、かっかさまぁ……。はる、かっかさまぁ……!!」

理性と言うタガがあるとすれば、百合子のソレは完全に外れてしまっていた。

未だ微動だにせぬ春香を前にして、百合子は発情しきった猫のように甘えた声を漏らしてはその身を悩ましくよじらせる。

……ところが、春香は一言として彼女に返さぬのだ。

血の流れ出る指先を百合子の鼻先に突きつけたまま穏やかな微笑みで少女を見つめ続けていた。
そのまま齧りつきに行くことも、一思いに吸い付くこともできる二人の距離である。

しかし百合子はその強い衝動を必死の思いで抑えていた。

なぜならば、"まだ春香の許しを得ていない"……彼女が願い届けてから、春香は返事を返していない。

例えるならば、だ。どれだけ水中で息を止めていられるかを競っている時と同じように。

自分の限界はとっくの昔にきているが、まだ、まだ、
競っている相手が目の前に沈んでいるために、顔を上げることのできない状況とよく似ていた。


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