【ミリマス】女王閣下をプロデュース
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41: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/12(火) 12:16:07.00 ID:UZlyT6fxo

ごくり、と百合子の喉が鳴る。まるでお預けをくった犬のように体がピクリと揺れ動き、
ざらざらと渇いている舌先が、口内で蛇のようにのたうちながら己の犬歯を舐めあげる――と、ここで百合子は気がついた。

鋭く尖ったこの牙は、目の前の女性からの贈り物……。

「はる、閣下さま……私、私解りました」

焦点は滴る血液に定めたまま、抑揚のない声で百合子が言う。

「吸血鬼……なんですね、私は。頭に生えたコウモリの羽、
血液に対する飽くなき渇望、そして、そして不老不死……!」

ぺしゃり、百合子が片足を踏み出して、その分だけ春香との距離が縮められる。

「我享受せりは久遠の炎の起こす風。創造主たる春閣下さまの、艶やかな血肉を賜り仮初の生を燃して動く……」

「……して、汝にかせられしそのサガは?」

「従属! 服従! 恭順の意思でこうべを喜び垂れまする。
……しかし、はぁ、しかし……お、恐れ多くも、願いましては春閣下さま――」

「よい、申してみよ」

「わたくしめに、……んっ! わ、わたくしめに御身の生血をひと啜り! ……い、卑しくも頂戴、したく存じますぅ……!」

初めはスラスラと口を突くように、途中からは口にするのももどかしいと感じられて出た
言葉の数々が本当に自らの意思によるものだったのか? 

百合子には分からない。分からないが、
目の前で垂れ流され続ける命の源を見ながら彼女の心は思ったのだ――「ああ、なんて勿体ない」と。


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