27: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/10(日) 07:42:09.77 ID:sgFcYz010
戦慄く百合子がそう言うと、春香はニッコリ頷いた。
途端、空中に浮かんだままの百合子は弾かれたように手足をバタバタ動かすと。
「や、やだ!! 死にたくないです! もっと他の、もっと他のぉ……! あぁっ、そうだ! なら私の記憶を消してください!
綺麗サッパリ忘れたら、誰にも話せないから問題無くなるじゃないですかぁ!! それで、命ばかりは助けてください〜!!」
命乞いをみっともないと笑うなかれ、百合子は本当に必死だった。
そも、彼女は最近になって自分の世界が広がり始めたばかりである。
ひょんなことからアイドルになり、仲間を得て、活動を通して楽しい嬉しい喜びを知り始めた人生これからが上り坂。
にも関わらず、不運にも突如覚醒した悪の女王の正体を知ってしまったがそのために、
若い命を散らすことになってしまうなど納得できる話ではない!
だがしかし、彼女の命運握る女王閣下は嘲笑にも似た笑いを浮かべると。
「そうか、命ばかりは助かりたいか」
瞬間、百合子の全身が金縛りにあったように動かなくなる。
春香の伸ばした両手が百合子の首を挟み込む。
グイグイと首を絞められて、苦悶の表情を浮かべる百合子に女王は言う。
「くっくっく……望みは叶えてやろうとも。その為にも一度死んでもらわねばならぬがな」
「そ、……んなっ!? ……やだ……!!」
絞り出すように声を吐き、春香の手を振りほどこうとあがきながら百合子は
のっぺらぼうと化したプロデューサーに助けを求める視線を送ったが……。
「は、春香! いや春閣下様! あまり時間を掛け過ぎると――」
「やっておる! 難しいのだ色々と!」
「ああ、ああぁ……! ホントに上手くいくんだよな!? ヤダよ? 百合子まで俺の二の舞は!」
「ええいウルサイ! 耳元でごちゃごちゃごちゃごちゃと――また私の邪魔がしたいんですかっ!?」
言い争う二人の声を聞きながら、限界に達した百合子の意識はプッツリと闇に飲みこまれてしまったのだ。
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