26: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/10(日) 07:40:15.22 ID:sgFcYz010
「これはっ!? ……ア、アルファベットの『P』? でも、なんでこんな……」
百合子が言葉を失くすのも無理はない。
男の頭部は先ほどまでのハイクオリティ肉団子からチープなアルファベットキャンドルに変わっていた。
その様を簡潔に描写するならば、スーツの首元に『P』の字が突き刺さっているような見た目。控えめに言っても滑稽だ。
「閣下の側近……つまりは悪の幹部ですよね? でもこれじゃ、間抜けなバラエティーショーの怪人か変人みたい」
ポロリと本音もこぼれ落ちる。すると『怪奇! Pヘッド男』と成り果ててしまった
プロデューサーはのっぺらぼうな顔を百合子に向け。
「春閣下様、百合子が何事か喚いておりますが……」
その手に持った扇子を広げると(聖母、天空橋朋花の顔がプリントされた天空騎士団御用達モデルだ)邪悪な声音でこう続けた。
「お早く! 手心を加えてはなりませぬぞ」
「うむ、再三言われずとも分かっておる。……我が覚醒した事実を知るはお主と百合子の二人だけ。
しかしPよ、お主が我に忠誠を誓った今――」
春香が招くように片手を動かすと、宙ぶらりんだった百合子の体は彼女の前まで移動した。
不思議な悪の力で女王の目と鼻の先まで引き寄せられ、怯える百合子が訴える。
「えっ? えっ!? 何の話!? いったい何の話をしてるんです!!?」
「取り乱すでない百合子、薄々は分かっておるのだろう? ……少しばかりお前は知り過ぎた」
「春閣下様が野望を果たすにはしばしの準備が必要だ。故に、時が満ちるまでこちらの秘密を知る人間は少なければ少ない方が良い」
「あ、あわ、あわわわわ……! そ、それってつまりアレですか? 目撃者と証拠は消すっていう、悪役お決まりの死刑宣告……!?」
103Res/100.38 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20