青空坂上 〜卒業するまで、しゃっぽーしようね!〜
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13:中村千歳 ◆hsUAEn/JO/Q.[saga]
2017/12/04(月) 22:47:01.02 ID:LYe2U+Pd0
昼休み。
三高には学食や購買部の類はないので、必ず弁当を持参する。
入学式の日からずっと、俺たちは3人で弁当を食べている。俺、遥、青木さんの3人。
「新友会って、本当に毎週やってるの?」
「毎週だよ!土曜か日曜かはそのときによるけど、風邪ひかない限りは毎週行くよ?」
「そんなに大会やってたっけ……?」
「大会じゃなくても、練習試合とかあるし、三高はそういうの結構入れるっぽいし」
さっそく仲良くなった遥と青木さん。もしくはたかはるとサッキー。この調子なら友達になれそうだな。
「あ、そうだサッキー、ちょっと聞きたいことあるんだけど」
と思っていた矢先だった。
「八幡高校って、どこにあるの?」
「あ…………」
それだけは、触れてはならない領域だったらしい。
思い出してみよう。青木さんは自己紹介の時、「八幡高校出身」と言っていた。
新本郷にある高校は、本郷市立新本郷第一、新本郷第二、新本郷第三、新本郷第四、新本郷第五、新本郷第六、新本郷第七、新本郷第八、新本郷第九、新本郷第十、新本郷第十一、新本郷第十二の各高校。「新本郷」という地名に、数字を付けたものである。
高校だけではない。警察署も消防署も病院も郵便局も、その他ありとあらゆる公共施設の名前は、「新本郷」に数字を付けたものである。警視庁新本郷第五警察署、本郷市消防局新本郷第十六消防署、本郷市立新本郷第二十病院といった具合だ。新本郷には「新本郷」以外の地名が存在しないので、このような名前になったのである。例外は、本郷市新本郷中央合同庁舎と、その中にある本郷市役所新本郷支所。これらは新本郷にひとつしか存在しないため、数字を付けなかったのである。
高校という、新本郷に12もある施設で、「八幡高校」などという名前は絶対にあり得ないのだが。
「もしかして、周縁世界の出身とか?」
「……」
そこまで来ると、青木さんも耐えられなかったらしく。
「ごめんなさい!」
弁当を片付けて、どこかへ行ってしまった。
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