勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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8: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/02(土) 21:34:09.73 ID:vAzM7c8Y0
国に叛旗を翻す。勝手にやってくれとしか言いようがなかった。
魔女との約束。叛乱の計画に加わってほしい、という意味だったのかもしれない。
自分は争いを好まないし、妹を養っていかねばならない。

兄「そうだ、サンドイッチを買っていかないとな」

父母は魔王との決戦で死んだ。戦いに参加したわけではない。魔王の巻き上げた瓦礫に当たって死んだのだ。
バルフが戦場になっていなければ、勇者と魔王がいなければ、そもそも戦争がなければ両親を失わずに済んだ。
もし叛乱を起こせば、自分と同じように大切な人を失う子供が生まれるだろう。
重税を課す王は許せない、しかし立ち向かえば死者が大勢出る。

兄「17にもなって物事ひとつ自分で決められない、情けない男だよ。俺は」

露店でサンドイッチを二つ買い、家路を急いだ。
何やら騒がしい。野次馬が集まっているようだ。将校の魚鱗鎧も見える。
兵が来ているのか。

兄「何があったんです」

野次馬の一人に声をかけると、いきなり腕を掴まれて円の中央に引き出された。
妹が倒れている。彼女の手足には鉄の枷が嵌められていた。

兄「あんたら、どういう理由で俺の妹に乱暴しやがった!」

下級将校「貴様の妹を奴隷として隣国に売り飛ばす。税の滞納が長引いていたからな」

兄「税の滞納? 俺はちゃんと納めているぞ、何かの間違いだ!」

下級将校「ちゃんと納めている? ははは、嘘をつけ。この紙を見るがいい」

下級将校が差し出した紙には、地方にある砦の改築作業を行うため、増税する旨がつらつらと書いてあった。
これまでの税制度に加え、人頭税、森林税から挙げ句の果てには排泄税や食事税、呼吸税などトチ狂った税が上がっている。

兄「あ、ありえねぇ。嘘だろ……? 聞いてねぇぞ!」

下級将校「アルマリクは魔王との戦で多額の財を失った。歴史的建造物も、交通のための道路や橋も、修理するための人員もな」

下級将校「それゆえ、増税を余儀なくされたのだ。国家事業への投資。どうだ、これ以上に納得できる理由などあるまい」

兄「ふざけんなよ、クソ……!」



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