勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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7: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/02(土) 21:01:19.18 ID:vAzM7c8Y0
魔女に分厚い原稿を手渡した。官能小説の推敲を教師に任せるなど、世界のどこへ行っても耳にしない話だろう。
学校へ行く途中に自分もサッと目を通してみたが、当たり障りのないただの官能小説だった。
現在の国家体制を痛烈に風刺したと本人は息巻いていたが、言われなければ分からない。筆力が足りないのか、逆にそれとなく見せるほどの技巧なのか。

魔女「ふむふむ、なるほどね。やっぱりそうだ。ボクと妹さんの考えは完全に一致してる。怖いくらいに」

兄「考え?」

魔女「うん、教えてあげてもいいけどね……約束してほしいんだ」

魔女「ボクと一緒に、最期まで駆け抜けてくれるって」

兄「どういうことです」

そこで、魔女は深呼吸をした。目を開く。紫色の瞳が決意の光を帯びる。
思わず数歩、後ずさった。後ずさらずにはいられなかった。

魔女「アルマリクの王を、亡き者にする。そして、君主制ではない新たな国家を打ち立てる」

兄「叛乱、じゃないですか」

魔女「叛乱じゃない、革命と呼んでほしいね」

魔女「いいかい? アルマリクは根本から腐っている。賄賂、麻薬密売、人身売買なんてザラ。役人は民から搾り取った血税で宴に明け暮れ、上級貴族に気に入られようと媚びへつらう始末。キミは世の中をよく見たことはあるか? 確かに賑わっている街もあるよ。けれど、それは 一部だけ。田舎へ行けば木の根で飢えを凌ぎ、病の治療もロクに受けられない貧者がいる」

魔女「この国は、とっくに崩壊しているんだよ」

兄「俺にどうしろっていうんですか」

魔女「まだ頭の中が整理できてない感じだね……。よし、分かった。落ち着いたら、またボクの研究室へおいで。キミには考える時間が必要みたいだ」





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