6: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/01(金) 20:43:32.23 ID:xQeGs0RqO
白かった。髪も顔も服も、全てが新雪のように白かった。部屋の中央に深緑色のソファがあり、魔女はソファにもたれて眠っていた。
右の本棚も左の本棚も、怪しげな古文書や魔導書がぎっしり詰まっている。仄暗い研究室なだけに、魔女の輝きが異質な物のように思える。
魔女「うう……うーん……」
魔女が手探りでつばの広い帽子を取り、頭にかぶった。魔女帽も白い。
魔女「こんにちは、ボクを起こしたお馬鹿さん。一体何をしに来たのかな?」
頭から爪先まで、電撃のように快感がほとばしった。甘過ぎる声。脳がとろけそうだ。サキュバスが人間に化けているのではないのか。
魔女「ふーん。魔法かけておいたのに、入ってこれたんだ。まぁ、下級魔法だから継続時間も短いし、仕方がないか」
兄「魔女先生、妹に頼まれて原稿をお持ちしました」
魔女「ああ、キミがお兄さんね! よく話を聞いてるよ。新作できたんだね。楽しみ〜」
魔女は手を合わせて嬉しそうにぴょんぴょん跳ね上がった。跳ねるたびに、短いスカートが舞い上がる。なるほど、彼女の授業を希望する学生が多いわけだ。
魔女「あ、そうそう。キミね、先生なんてつけなくていいよ。敬語もよそう。お互いタメ口で……ねっ?」
兄「いいんですか? でも、どうして……」
魔女「なんとなく。この先、キミとはとて〜も深い仲になりそうだと思ってさ」
兄「あなたは不思議な人ですね」
魔女「よく言われる。逆にどこかしら不思議なところがないと、沢山の魔法は扱えないんじゃないかな」
話が頭に入ってこない。ガラスのごとく透き通った白い肌に、つい目が奪われてしまう。
魔女が小首を傾げた。その絶妙な角度! 微笑みも相まって、聖母が降臨したのかと奇妙な錯覚すら覚える。柔らかそうな胸に顔をうずめたくなる。良い香りがするに違いない。
魔女「どうしたの? 妹さんの原稿を届けてくれたんじゃないのかい? ボク、彼女の小説がとっても好きなんだ。早く読ませておくれよ」
兄「すみません、考えごとをしてました」
魔女「だから敬語はいいって」
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