76: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/16(火) 18:19:26.48 ID:HmufLlVDO
歓声が落ち着いたところで、国王は重々しく口を開いた。
国王「勇者、貴様を二代目バルフ候に任ずる。ただし」
側近「なりませぬ! 勇者とは言え、どこの馬の骨とも知れぬ町人に爵位を与えては、上流貴族や高級役人の反感を買いますぞ。それに」
国王「貴様は黙っておれ。ただし、少しでも怪しい動きを見せれば即刻、爵位を剥奪し国外へ永久追放する。庶民が身分の差を越えて自治権を得るのだ。これくらいの条件をつけねば、王都の民が口を出してくるのでな。嫌だと言っても飲んでもらうぞ」
勇者「ああ、いいとも」
元より、爵位など捨てる気だった。
欲しかったのは、拠点となる都市だけだ。
勇者の意図は国王も見抜いていたらしい。
見抜いた上で戦を愉しむために、あえて勇者を泳がせているのだ。本気を出せば、叛乱軍の鎮圧など蟻を踏みつぶすのと同じだった。
国王「翌朝、発つ。各自、出立の準備をしておけ。これにて閉会」
側近「陛下、あなたの判断が正しかったのかどうか。私は心配でなりません。どうか、道を踏み違えませぬようお願い致しますぞ」
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