勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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77: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/16(火) 18:21:05.19 ID:HmufLlVDO
国王が立ち去ると、観衆も波が引くように広場から離れていった。だが、熱気はまだ残っている。
壇上から降りた勇者に、間諜が真っ先に飛びついた。

間諜「カッコよかったです、勇者さん! 思わず見惚れちゃいましたぁ! いや〜、聖剣ってホントすごいですね〜!」

勇者「町の長になったはいいけど、国王と変な約束しちまった」

魔女「都市を奪ってしまえばこちらのものさ。勇者軍には大富豪という強力なパトロンがいる。キミだって立派な広告塔だ。どんどん人が集まるよ。いずれ、王国軍にも太刀打ちできるようになるはずさ」

軍師「甘いな」

棘を含んだ声。壇上で、軍師が腕を組んでいた。

軍師「バルフには足りない要素が多過ぎる。人が増えれば土地が無くなる。廃屋を改築すれば何とかなるが、それでも収容できるのは僅かだ。大富豪の蔵だって、無限に金が湧いて出るわけではない。物流の動きを把握する文官も足りん。兵も足りん、武器も足りん、物を運ぶ輜重車も船も足りん!」

間諜「今まで何やってきたんですかー? 軍師さんの脳も足りん」

軍師「なにッ、この小娘が。薬師だと騙していたこと、忘れたとは言わせないぞ」

間諜「えぇー……まだその話持ちだすなんてドン引きなんですけど……。あれはただの騙しじゃなくて、敵の懐に潜り込むための戦略的変装ですッ! あと軍師さんも見た目子供でしょー」

勇者「やめろ、間諜。軍師の言う通り国家と闘うには、今のバルフはあまりに小さい。ゼロからの出発だ。だから、お前達の力を貸してほしい。みんなで協力し合って、足りないところを埋めていこう」




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