勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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72: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/15(月) 22:14:22.92 ID:fuyrxnpG0
国王「女神の加護を受けていようと、所詮は大工の息子。生まれついての卑しさだけは、抑えることができなかったようだな」

側近「陛下、上流貴族の中から後任を決めねばなりませぬ」

魔女「その必要はない!」

水を打ったように場が静まり返った。
涙を見せる者も、怒りを露わにする者も、興味本位で覗きに来た野次馬も、皆の視線が一斉に魔女の方へ注がれた。
先代勇者の仲間だったこの女が、次に何を話すのか。国王の挨拶よりも気になって仕方がないようだ。

魔女「さ、檀上に上がろう。こっからはキミの出番だよ」

勇者は魔女に手を引かれて、壇上に上がった。
玉座の前まで進む。
勇者と魔女が、玉座に座る王を見下ろすという絵になった。
近衛兵が二人に穂先を向ける。いつ突き殺されても、おかしくない。

勇者「今日から俺が、バルフの町を治める」

魔女「……とまぁ、そういうことになったんで。よろしく」

側近「ぶッ……無礼者! 陛下を見下ろすだけでも大罪だというのに、加えて自分が陛下と対等であるような物言い……万死に値する! 捕えよ! 先代勇者共々、引き裂いてしまえ!」

国王「落ち着け、側近。魔女も何か、思う所があるのだろう。しかし妙であるな。余が爵位を授けるのは、縁のあった者のみ。その者は、ただの町人ではないか」

魔女「ただの町人? 分かってないなぁ、彼の目をよく見てごらん」

国王「瞳の中に……五芒星……?」

魔女「そう、五芒星は勇者の証。新しい勇者が生まれたんだよ。数年ぶりにね。魔族は滅びた。当面の危機は去った。なのに、どうして邪を退ける勇者が生まれたんだろうね?」

魔女は暗に国王の政治を批判しているのだ。
神は悪政を断つために、英雄を遣わした。
魔女の意図を読み取ったのは、国王と側近だけだった。
殺気立つ側近とは対照的に、国王は静かに魔女を見つめていた。



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