勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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73: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/15(月) 22:18:16.25 ID:fuyrxnpG0
国王「勇者の役割は、邪を退けるだけでない。国を繁栄させる、豊穣の使徒でもある。勇者よ、余は貴様が生まれたことに感謝しよう」

側近「陛下、あの者を勇者と認めてよろしいのですか!」

国王「瞳の五芒星を見せられた以上、認めぬわけにはいくまい。先代勇者が腰に佩いていた聖剣をここに持ってこい」

側近「あなた、この状況を愉しんでいますね? 新生勇者誕生という新たな出来事に心躍らせていますね? 厳しそうな顔をしていても、闘気で分かるんですよ、闘気で」

国王「おや、貴様には理解できんかな。さらなる刺激を、さらなる好敵手を求める武人の気質が」

側近「理解できませんな! ホレ、持ってきましたよ。これでいいんでしょ、これで。さっさと鞘から抜けばいい」

半ば押し付けるように、聖剣を渡された。
銀色の鞘に、山羊の紋章がひとつ。
頭上ではためく旗にも、同じ紋章があった。

国王「聖剣に相応しい男となれ」

勇者「ああ、きっとその時……」

国王「天がどちらに味方するか、分かる」

再び大広場が静謐に満たされた。誰もが固唾を飲み、勇者を見守っている。

勇者「……よし」

勇者は剣の柄を握りしめ、ゆっくりと引き抜いた。
溢れる光。高鳴る鼓動。刀身がまばゆい光に包まれている。
剣を頭上に掲げると、その輝きはさらに強さを増した。
天地をあまねく照らす伝説の聖剣。

「す、すげぇ……」

「伝説の聖剣、初めて見た……やっぱりあの子、本物の勇者様なんだ……」

「死ぬ前にもう一度聖剣を目にできて、わしも悔いがないわい」

誰かが拍手をした。

一つ、また一つと拍手の音が増えていく。

「「「勇者万歳! 勇者万歳!」」」

地が激しく震えた。
町全体がひとつの生き物となって、叫び、歌い、踊り、そして産声をあげた。
バルフという町は生まれ変わったのだ。

側近「ここまで歓声が沸くとは……。先代の統治はどれだけ腐っていたのでしょう。想像がつきませんな」

国王「民は勇者なら誰でも良いのじゃろうな。自分達の境遇が良くなるなら、鼻たれ小僧でも崇め奉る。その代わり、前と変わらなければ袋叩き。どう乗り切るか、見ものだな」



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