勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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44: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/29(金) 13:46:08.46 ID:sOpPte4i0
次に先代勇者が矢を放った。しかし、結果は軍師と同じだった。
馬を並べた軍師に苦笑で答える。

先代勇者「太ると昔のように弓を使えんな。こう見えて、現役時代は敵なしの弓使いだったのだが」

間諜「行きます」

それだけ言うと、薬師は馬腹を蹴って駆け出した。
背の矢筒から素早く矢を取り出す。弓の弦にかける。流れるような無駄のない動きだ。
薬師の放った矢は美しい弧を描き、鹿の左脚に吸い込まれていった。

先代勇者「おお、左脚に刺さったぞ! 惜しい!」

二の矢を番えようとした先代勇者を、薬師は片手で制した。

間諜「鏃にトリカブトの毒を塗っておきました。脳天に刺さらずとも、毒が回って死に至ります」

軍師「口から血泡が……。薬師、本当に死んでいるぞ」

先代勇者「薬だけでなく毒も扱えるのだな。恐れ入った」

間諜「トリカブトは毒にもなりますし、薬にもなります。使い方次第で、見せる顔が変わるのです。面白いとは思いませんか?」

先代勇者「君はまさしく、トリカブトのような女だ」

枯れ葉の絨毯に倒れた鹿の死体を見て、軍師は何故か不吉な予感に駆られた。
脚に刺さっただけで対象を殺す強力な毒。すでにバルフにも、毒は回り始めているのではないか。
気づいた時には、遅いのだ。



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