43: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/26(火) 01:08:29.58 ID:8fDRK/Ah0
魔女との会談の後、先代勇者は久しぶりに狩りへ行こうと言い出した。
伴うのは軍師と薬師の二人だけという。すぐに三頭の馬が用意され、軍師は葦毛の馬に跨った。
馬は苦手だった。乗るのも兵の補助がなければ満足にできない。
少しでも駆けようものなら、馬首にしがみついて手綱をロクに取れない始末である。
先代勇者「裏の雑木林に丸々と肥えた鹿がいるのだ。射止めた者に金の杯を与えよう!」
金など見飽きている。
うんざりしながら、軍師は先代勇者の後について裏手から外に出た。
バルフの北には広い牧草地と雑木林が広がっている。狩猟にはもってこいの環境だった。
間諜「ハイヤッ! ヤアッ!」
薬師が一番前に躍り出た。予想以上に馬術が上手い。どこかで習っていたのか。
爽やかな風を切り、三頭の馬が緑の草原を駆ける。雑木林が見えた。木々の間に、鹿の斑点模様が揺れている。
先代勇者「軍師、弓を射てみよ!」
軍師「はい!」
鞍に提げた弓を取り、矢を引き絞った。指が赤くなっている。
痛い。千切れてしまいそうだ。
ようやく放ったヘロヘロ矢、見当違いの方向へ飛んでいき音もなく地面に突き刺さった。
先代勇者「ははは、やはり軍師に弓は難しかったかな? よし、次は私の番だ。薬師は最後に射よ」
256Res/223.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20