22: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/16(土) 18:41:13.37 ID:J5eINESa0
応接間に通された。
大きなソファが二つ、水晶製のテーブルを挟んで置いてあった。ソファには既に小柄な男が座っていた。
手入れのなっていない金髪、目の下にくっきり浮かんだ隈、そして積み上げられた書類の山。
もしやこの少年が先代勇者の傍に仕えている『知恵者』なのか。
先代勇者「紹介しよう。これは私の下で軍師を務めている者だ。軍師と言っているが、条例の制定から治水工事の指揮監督までこなす、宰相のような存在だ。軍師には色々と教えてもらった。今の私があるのは、軍師のおかげだ」
勇者「14、5歳くらいですよね。その歳で、先代勇者殿を支えてきたとは。優秀な人材を持つあなたが羨ましい」
突然、軍師が顔を真っ赤にして机を叩いた。
軍師「客人、私は外見のことでつべこべ言われるのが最も嫌なのだ。こう見えて、私は35ですぞ。中年に片足を踏み入れた年齢だ。くれぐれも童子と間違えないで頂きたい」
先代勇者「嫌なら髭をたくわえればよいものを。すみませんな、融通の利かない堅物でして。おい、もう下がってよいぞ」
軍師「では、失礼致します……つゥッ……」
軍師は書物を抱えてそそくさと応接間を立ち去った。
間諜がこっそり耳打ちしてくる。
間諜「勇者さん。あの人、部屋を出て行く時に頭を押さえてましたよ。なんか病気持ちなんですかねー」
勇者「単なる寝不足じゃないの。あの調子だと、何日も徹夜していそうだし。愚王を支える裏方の苦しみってやつだ」
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