23: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/16(土) 19:49:21.84 ID:J5eINESa0
先代勇者「魔王討伐の命を受けて旅立ってから、何年が経っただろうか」
魔女「七年、くらいかな」
先代勇者「かつての仲間は息災か?」
魔女「それが全然情報が入ってこないんだよね。みんな簡単に死ぬようなタマじゃないから、元気にやってると思うんだけどなぁ」
七年前。
魔王討伐の命を受けた四人がアルマリクを出発した。
先代勇者、戦士、僧侶、魔女。短所をそれぞれ補い合っている、最高のパーティーだと言われていた。
先代勇者「そんでもって、巨悪は倒れた」
魔女「最後は戦士の一撃で決まったよね。それでキミが地団太踏んで悔しがって。僧侶なんかその場で座禅組みだしたりなんかして」
先代勇者「みんなで旅をしていたあの時が、一番辛かった。王から与えられたのは木の枝とわずかな銅貨。野宿は当たり前」
魔女「盗賊に荷を盗まれて、激流に流されて、灼熱の太陽にじりじり焦がされて、散々な目に遭った」
先代勇者「でも、一番楽しかった時だ。人生でね」
先代勇者の瞳がかすかに翳った。
先代勇者「過去に浸るのは後にして、今日はどんな用で来たんだ?」
魔女「良い薬師を見つけたから、紹介しにきたんだ。バルフ候なんて言ったら、激務に追われて大変だろうと思ってさ」
間諜「よろしくお願いします」
勇者は思わず間諜の顔を見た。
先程の元気な少女はどこへやら、一人の薬師が隣に座っていたのだ。
間諜は完全に、薬師に化けていた。
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