172: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/31(土) 13:37:58.76 ID:CbeXd7Pc0
王子「さあ、遠慮せずに食べてくれ! これは僕からの餞別だ」
饅頭を盆に載せ、土埃舞う作業場を歩いて回る。
王子は奴隷達が目を輝かせて饅頭に飛びつくものだと考えていた。
しかし、彼らは王子が差し出した饅頭を手に取ろうとしない。
ある程度の距離を置き、じっと無言で見つめるだけである。
「やめろ! そんなモン配るんじゃねぇ!」
群衆をかき分けて、一人の少女が怒鳴り散らしながら現れた。
奴隷少女「王族の腐った施しを受けるほど、あたしらは落ちぶれちゃいねぇ。とっとと宮殿に戻りな、クソガキ」
王子「どうして? 僕は君達をねぎらいたいのに……」
奴隷少女「自己満の押しつけなんか、こちとら迷惑なんだよ。それともなんだ、この鉄枷を外してくれんのか?」
王子「……」
少女は吐き捨てるように言う。
奴隷少女「ケッ! 最初から期待なんざ、これっぽっちもしてないぜ。王族や貴族はみんな、自分の儲けのことしか頭にないんだ」
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