56:名無しNIPPER[sage]
2017/11/27(月) 02:14:01.19 ID:QPBy19qO0
「平行世界の自分の頼み……当然聞くつもりだったし、受けない理由はなかったのだけど、ここでいくつかの問題があった」
「一つは、平行世界に自分の世界の歴史を持ちこむ恐れがあるということ。死んだ自分と成り代わるという行為によって、”本来”の所長が死んでしまった人理に近づく恐れがあるということ」
「二つ目は、この平行世界へ行くことが、レイシフト以上に安定しないこと。もしも平行世界の人間だと気が付かれてしまったら、魂が世界から弾き飛ばされて元の場所に戻るかもしれなかった」
「三つ目は、手助け出来る時間が限られていたこと。自分の死が間違いなく確定する、人理修復までしか、所長を助けられなくて、その後の困難にはどうあがいても付き合えないこと」
「これらの問題を解決できなかったら、どのみちこの世界の所長は死ぬ。確信に近い予感があったから、自分は必死に考えた。どうすればいいか、ひたすら考えた」
「一つ目の問題の解決はある意味簡単だった。”本来”の世界との混線によって、所長が特異点Fでマスター適性を獲得してしまったことで解決できてしまった」
「”本来”の世界……”人理修復が可能である”ことが実証されている世界……その世界に歴史が近寄ってしまうのであれば、いっそ思い切り寄せてしまえばいい。ただし、役柄はすり替えさせてもらってね」
「すなわち、”人理修復”を成し遂げたマスターの役を、所長に演じてもらうこと。かつての旅路の追体験をしてもらうこと。そして、これによって三つ目の問題も自然解決した」
「だって、人理修復なんていう壮大な旅路を経験して、成長しない人間なんていない、でしょう?」
所長「な……! そん……な……!」
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