61: ◆3s4IbQehY.[saga]
2017/12/10(日) 21:06:47.87 ID:2/dn233N0
「これが一体、なんでアカリちゃんに渡されたのかは分かりません」
「けれど、あたしが起きた後すぐに怪異はいなくなってしまって………」
「いなくなった後、その子がいた場所にこれが落ちてたんです」
果たして、このメガストーンが示す意味はなんなのか。
私と姉に憑いた怪異どちらとも、まだ消えていないので今回のケースは初だ。
やはり人生の先輩に聞くべきか、と姉に訊いてみたところ。
『多分、ある種の催促というか、注意なんじゃないかな』
「注意ですか?」
『うん メガシンカするイコール力が強くなるってことだからね』
『もしかしたら、怠けずにちゃんと頑張りなさいって言ってるのかもしれない』
「パルウ」
「そんな顔しないでアカリちゃん、大丈夫です私も頑張りますから」
「パルゥ!」
二人、いや一人と一体。羊と眠り続けた少女と羊に憑かれたポケモン。
彼女達の顔は昨日、アサギの灯台で出会った時よりも、明るくなっている気がする。
私達が外にいる時二人の間で何があったのかは結局知らず仕舞いだが。
きっと、良い方向へいってくれた。そう思っておく事にしよう。
「まぁ、メガストーンはトレーナーがキーストーンを持っていないと意味ないけど」
『だからこそ、今回は注意喚起で済んだ そういう事じゃないかい?』
「そうであってほしいものです」
そう言ってお互い笑い合う彼女達は、とても綺麗に見える。
夢とは、目覚めればすぐ忘れてしまいそうな程に壊れやすいものである。
だから夢から覚めたくないと思う人が大勢いるのだろう。
夢の中でなら、在りもしない仮初の幸福を、感じる事ができるから。
けれど人は、夢から覚めなければいけない。幻想を手放さなければいけない。
現実と向き合い、自分を思い出し、そして世界を知っていく。
だが少なくとも彼女達なら、きっと大丈夫だ。大丈夫なはずだ。
根拠はないかもしれない。けれど、確かな確信は私にはあったから。
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