【ポケモン】キミの知らない物語【化物語】
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50: ◆3s4IbQehY.[saga]
2017/12/03(日) 13:45:21.12 ID:c2jBxbaE0
「大きい…こんな大きいポケモンもいるんだね」
「いや、いるにはいるんだが、僕もこんなポケモンは見た事ない」
「………」
「リリィちゃん?」
「……すいません、ちょっと失礼します」

いくら私にも似たようなものが取り憑いているとはいえ、その類の知識は殆どない。
知識、といっても私は自分に“憑くもの”の姿さえ未だ見た事がない。
そんな知識量は知識とは言い難い。しかし、私の知る人物は少しばかり違う。

「何かあれば、あたしに連絡してきなさい あたしの知ってる事ならしてやれる」

私の姉なら、猫に魅せられ、今も猫とともに世界を歩んでいる彼女なら。
私が知り得ないミカンさんに憑いた“アレ”についても何か知ってるかもしれない。
これは限りなく私の願望であり、そうであってほしいという私の思いだ。
私の姉はなんでも知っている人間ではない。自分の知っている事だけしか、知らない。
だとしても私には、自分を除けば“怪異”の存在を知る知り合いは彼女しかいなかったから。

『…あぁリリィ、お姉ちゃんになにか用かい?』

幸いにも、姉はライブキャスターが数回コールしてすぐ通話に出てくれた。

「お姉ちゃん ちょっと大変な事が起きてしまって…」
『大変な事?具体的にどんな事があったのかな?』
「その、あの………多分、怪異関係で」
『成程ね、そりゃリリィも私しか頼みの綱はいないよね』
「それでですね、その怪異はミカンさんという方に憑いていまして」

一瞬、通話越しで姉が驚いたように口笛を吹くような音が少しだけ聞こえてくる。

『…つまり、怪異が取り憑いたのはアサギシティのジムリーダーってことかい?』
「はい」
『うっわぁ…………』

今度は精神も一緒に吐き出されてしまいそうなほどの長い長い溜息が聞こえた。
無理もないだろう、一般人ならともかく、ジムリーダーとなれば結構厄介事なのだ。

『…お姉ちゃん妹が五体満足で帰ってくるか心配だよ』
「そんなに心配しないでください、今の所当人以外への被害は直接出ていません」
『間接的には、出てるってことなんだね?』
「はい」
『………で、そのミカンちゃんに憑いてる怪異は?』
「え、っとですね すごく大きいメリープというか、モココというか…」
『巨大なメリープのようなモココのような怪異……ふむ、分かったよ』
「えっ、お姉ちゃん知ってるんですか?」
『あぁソイツだけは偶然ね、それでそこのお二方、こっちに来たらどうかな?』
「ゔっ」

振り向いてみると、先程私が出てきた扉の方から覗き込む人の姿が。
といっても、先程の私の行動を考えれば二人が様子を見に来たのも頷けるが。
逆に二人の前で問題行動を起こした私の方にこそ、非はあるだろう。

「そ、その…ごめんリリィちゃん盗み聞きしたい訳じゃなかったの!」
「えぇっと、そんな頭を下げないでくださいコトネさん」
「うぅ」
「それで、どういう事か説明してくれないかな?君は…“アレ”を知ってるのかい?」

話を聞いていたウツギ博士は私に対して事の詳細を鋭くはないが、聞いてきた。

「…はい、ミカンさんに憑いたアレそのものは知りませんが」
「なに?それはなんなのリリィちゃん」
『それについては、あたしから説明させてもらおうかな』

それまでの会話を画面越しから黙って見ていた、ただ傍観していた彼女はそこで言った。

『あたしはシオン、リリィちゃんの実姉だ 初めまして、と言っとこうかな』
『それで“怪異”について、だったね?先に言っておくが…』

その言葉を言った直後、彼女はあの何かを見据えるようね目で、鋭く深く言い放つ。

『ここから先、君達が知る世界にあるのは大昔に残された遺産だ』
「遺産……?」
『あぁ、“負の遺産”ともとれる奴もいるが、その区分はこの際どうでもいいだろう』
『これは現実的なこととして語れない あたしにも、そこにいるリリィちゃんにもね』

そう、今から彼女達に話す事は文字通り、現実とは違う“裏の世界”なのだ。
本来の世界に対して常に隣同士に釣り合っているモノ。それこそが怪異なのだ。

『だから、今ここで話す事は外に出さない 私達の以外の人には、話さないように』
「………」
『その無言は了承と受け取っていいね、それでは話させてもらおうか』

姉は納得した風だったが、しかし話すのを焦れている様子で最初にまず、こう話を切り出した。

『怪異とは、世界そのものだ』


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