【ポケモン】キミの知らない物語【化物語】
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51: ◆3s4IbQehY.[saga]
2017/12/03(日) 15:29:51.72 ID:c2jBxbaE0
出所が分からない謎の“物語”というのは、えてしてどの地方にも存在する。
それらは本当に起きた真実であるかもしれないし、ただの空想上の産物かもしれない。
本来なら時間とともに人から忘れられ、なかった事になるはずだったものだ。
しかし、ほんの一部は、歴史の中の藻屑として消えるはずだった物語は。
人に信じられ、生きる支えにしようとされた。
人に面白がられ、史実として遺していこうとされた。
人に恐怖され、未来の命への警告として伝えようとされた。
果たして、そのどれもが全てこの現代に存在するのか。はたまた忘れ去られたか。
分からない。今を生きる私には、消えた物語など知る由もない。
だが、これはそれによって生まれた物語なのだ。
消えた物語に生きた命が、現代に蘇ろうとしているのだ。
まるで、自分はここにいて、ここに物語は続いている、とでも言いたげに。

『要は、怪異というのは何千年も昔、先人が作り上げた物語の中の生物』
『もしくは、その生物のモデルになった生き物、という事さ』

それらを語り尽くした姉は、ばっさりと単純に怪異を一言で言い表した。
ただそれは、彼女が知っている範囲内の怪異の話であり一様にそうとは言えないが。

「だ、だとしたらさっきの世界っていうのは言い過ぎじゃ……」
『コトネちゃんはシンオウ神話というものをご存知かな?』
「しんおうしんわ?」
「あぁ、それなら僕が知ってるよ シンオウ地方に伝わる伝説でね」
「それがどうかしたんですか?」
『あの伝説も、人によって語り継がれ今に残されている これも物語だ』
『物語は人によって語り継がれ、それを聞いた誰かが世界に広めていく』

つまりはそういう事さ、と彼女は言った。

『この世界に広がっている神話や伝承、或いは噂話や都市伝説』
『それらは全て、元々は大昔に存在したとされる“怪異”を表したもの』
『しかし時が進むにつれ、その怪異が今でいう伝説のポケモンに置き換えられた』
『あたしは、そう考えるね』

物語は語り継がれていくうちに、尾ひれがついて話が変わっていくものだ。
シンオウの伝説ポケモンが使う時間や空間を操る能力は後から付け足されたもの。
実際の、最初の話はもっとシンプルに、簡易的に怪異を示していた。
というのが私の姉、怪異憑きの女性シオンの持論である。

『そして、この伝説の元となったかしれない怪異は実は我々の密接な所にいる』
「だけどなんで、今まで誰もそれに気付かなかったんですか?」
『簡単だよ、どうやっても見えないし触れない生き物なんていてもいなくても同じだ』
『そこに在る事と、そこに無い事が、まったく同じなんだよ』
「じゃあ、どうして僕達は急にその怪異が見えるようになったんだい?」
『さぁ、直前までミカンちゃんといたせいか、先天的な才能が怪異に遭遇して花開いたか』
『いずれにしろ、君達は怪異を偶然にも見られるようになった訳だ」
「じゃあ、教えてください ミカンちゃんに憑いている怪異は一体なんなんですか?」
「彼女に憑いている怪異、それは羊だ」
「ひつじ?」
「そう、彼女に憑いている怪異は“夢限抱羊”という」


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