89:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 19:46:52.98 ID:NjFxGLD10
本名を言い当てられたことについて、元ミスタ・Cu――キャスパーは驚くことすらせずに、酷薄な笑みを口元に浮かべた。
「一応、プライバシーは守られているという話だったと思いますけど」
『ミスタ・Guからの勧誘を受けている連中を調べていてね。君の素性を掴むのが一番苦労したよ』
「では、後ろのこれは脅しで?」
「キャスパぁー、まだおわんないの? あの小型ASの相手、疲れるんだけど」
背後から響いているのは銃声と爆発音の連続だった。
部下であるチェキータが、対物ライフルを片手で軽々と持ち上げながら、部屋のドアを開けて首だけ突っ込んでくる。
対人用として人間大にまで縮小されたAS<アラストル>が、キャスパーのセーフハウスに襲撃をかけてきたのが15分ほど前。
キャスパーが擁する4名の私兵たちは、鋼鉄の執行者をここまでどうにか退け続けていた。
チェキータにもう少し、とジェスチャーを返す傍ら、画面の向こうのミスタ・Agが肩をすくめる気配が伝わってくる。
『その件に関しては謝罪するよ。君が向こうに着くのは好ましくなかったからね。
まさか、今日の会議であんな発言をするとは思わなかった』
「それなら、さっさと引きあげさせて欲しいものですけど」
『質問に答えてくれたらね。キャスパー・ヘクマティアル――君は、この世界を正しいと思うかい?』
「というと?」
『君なら気づいているだろう。ASという兵器の不自然さ。<ラムダ・ドライバ>なんていうSF染みた機構の存在。
それをもたらす<ウィスパード>という人種。その他、諸々についてさ』
「その口ぶりだと、貴方は"間違っている"と思っているようですね、ミスタ・Ag」
『ああ、その通りさ。この世界は間違っている。10年以上も前から、誤った方向に進み出してしまったのさ。
僕は、そんな世界を元通りにしたいと思っている――君もこっち側につかないか?」
「<アマルガム>を牛耳るのに手を貸せ、と?」
『あんなものに興味はないよ。それに僕は世界を正すのではなく、やり直すと言ったんだ』
「タイムマシンでも開発しましたか?」
『似たようなものかな。さあ、どうする?』
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