相良宗介「HCLI?」
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69:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 20:28:06.87 ID:AHCstnE90

「オーケイ。では追加料金を。確証があるわけではないが、君のところの情報部は私を銃弾以外の手段で攻撃していただろう?」

『ご想像にお任せします』

「彼らが私から奪おうとしていた、個人的な販路の一部を御譲りしよう。M9の修理代金としてはお釣りが出るほどだ。
 運用は君たち実働ではなく情報部の仕事になるだろうが、だからこそ君たちは彼らに恩が売れる。
 "彼らのミス"で今回のミッションは失敗しかけたが、挽回し、それどころか彼らの成し得なかった仕事を達成できる。どうかな?」

『まあ! ひどいです。そんな、わたし達作戦部と情報部の人達が犬猿の仲みたいな言い方。
 適当な仕事ぶりのせいでわたしの部下を危険に晒した責任を取ってもらおうなんて、そんな乱暴な』

「大分いい性格をしているようだね。気に入ったよ、出来れば仕事は抜きに友人として付き合いたいくらいだ」

『ごめんなさい。友達は選びなさいというのが家訓でして。
 もしかして、ひょっとすると、死の商人はお友達として相応しくないとおじさまに怒られてしまうかもしれません』

「では、これはおまけだ。私の取引相手の内、君たちが目の敵にしそうなテロリストや海賊の情報も流す。
 以後、二度と君たちの目につくような取引はしないと誓おう。駄賃程度の条件だが」

『……うーん……』

「なんだい? "た、頼む! 金は渡すから命だけは助けてくれ!"という様式美に満ちた言い方をしなければダメかな?」

『いえ、食堂のドリンクサーバーにドクターペッパーを入れてくれという要望が上がっていたのを思い出しまして。
 その分のお金をどうやったら毟り取れるか考えていたところです』

「ヨナー、もう手榴弾投げ込んじゃっていいよー」

『――冗談はさておき。手打ちの条件としては悪くありません。むしろ破格と言っていいでしょう』

「では?」

『ええ、そちらの言葉が、この場限りの出まかせでないと証明できるのなら、追撃はしないと約束してもいいですね』

「良い取引が出来て光栄だ、ミス・アンスズ――そこのパイロット、この規格のメモリー・チップは読み込めるか!?」

 ココはコートのポケットから、薄い保護ケースに入った記録媒体を取り出すと、
 目の前のASのパイロット――ヨナが言うところのセガール氏――に、アピールするように振って見せた。

「……ジョナサン。機体を動かすぞ」

 むっつり顔の少年兵はそう呟き、機体の掌をココの前に差し出す。武器商人は竦みもせず、その上に乗り、安定姿勢を取った。

 再度、ASの腕部が稼働し、ココ・ヘクマティアルを落とさないようにして解放されたコックピット・ハッチにまで移動させる。

 ココは掌からハッチの縁に乗り移ると、同じく縁に体を固定しているヨナに笑いかけた。

「やあ、ヨナ。久しぶり。きついかもしれないけど、もうしばらくその体勢で頼むよ」

「大丈夫だ」

「それでこそ、男の子だ――で、君がセガール氏かい?」

 操縦席を覗き込むと、そこに居たのは名前からの予想に反してアジア系の少年だった。ふむ? とココは首をひねり、

「ソウスキー・セガール……ああ、もしかして本当はソウスケ・サガラとか、そういう発音になるのかな」

「さあな。それより、その記録媒体とやらは?」

「なんとも愛想のないことだ……ほら、これだ。内容をアンスズ女史に送ってくれたまえ」

 セガールは用心深くココの手からチップを受け取ると、操縦席にあるスロットのひとつに挿入した。

「アル」

≪ウィルス・チェック終了。トラップの類は見当たりません。三重に精査したので間違いはないかと≫

「では、送れ」

≪了解≫

 僅かな間。やがて再び、ココのヘッドセットからアンスズの声が聞こえた。

『――確認しました。いいでしょう、今回は見逃してあげます』



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