相良宗介「HCLI?」
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40:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 23:20:55.80 ID:290cDT/E0
◇◇◇

「ベン! ベン!? ちょっと、生きてたら返事しなさいっての!」

 メリッサはヘッドギアのインカムに向かって呼びかけを続けていた。応答はなかったが。

 クルーゾーが突貫してきた敵のひとりを引き付けて走り去って、まだ1分というところだろう。だが、メリッサには数時間にも等しく思えた。

 彼らが向かった方角からの銃声が絶え、さらにこちらに残された敵二人からの猛攻を捌くのが厳しくなり始めているからだ。

 人数の差は、それが小数であればあるほど意味が大きくなる。3対2と2対1。どちらも人数差はひとりだが、後者は2倍の戦力差だ。

 それでもなお、まだ制圧されていないのはひとえにメリッサ・マオという兵士の技量と根性の賜物に他ならない。

 敵は2方向に分かれて距離を詰めようとしている。対してメリッサは、包囲されていない側に退きながら完全な挟撃を避け続けていた。

 とはいえ――厳しいことに違いはない。

 ひとりを押しとどめれば、フリーになったもう片方が銃撃し、距離を詰めようと動く。
 常に2方向を意識しなければならないという事実は、メリッサにとって重い負担となっていた。

「こちらウルズ2! チームβ、進行状況は!?」

『ウルズ3よりウルズ2へ。こちらは順調だ。あと10分もかからない。どうにか踏ん張れ』

 キャステロの声に焦りはない――ないように見せている。無駄に不安を煽らない、優秀な士官としての資質だ。

「スピード違反にならないようにね。パトランプはついてないんだから、信号はきちんと守らないと駄目よ」

 こちらも余裕そうに軽口を叩いて見せる。無理に急がせて向こうが落伍してしまっては話にならない。

 だが実質問題、この状況で10分というのは永遠にも等しい長さだった。
 弾薬はクルーゾーの残していったマガジンを足してどうにかましになったが、それでも足りない。
 というより、彼がその判断をしていなければ既にメリッサは死んでいる自信があった。

(こっちにも秘密兵器はあるけど――上手く作用するかは分からない。下手すればこっちも全滅だしね……いや)

 メリッサは首を振る。きっと奴なら上手くやるだろう。

 SRTの中でも、トップクラスのガッツを持つ彼ならば。


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