101:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 19:14:02.60 ID:FJPDfUmY0
それを抜かずに済んだのは、バシュゥ、という空気が抜けるような音と共にキグルミの背部が展開し、中から髭を生やした白人の若い男性が降りてきたからだ。
「やあ、ヘクマティアル! 相変わらず景気が良さそうだな!」
「べアール社長!? なんでそんなとこから……」
にこやかなオーバーアクションで手を広げる男に、ココが目を丸くする。いつの間にかココの傍に立ち位置を変えていたレームが、ココを横目で見、
「知り合いか、ココ?」
「まあ、一応。こちらはベルギーにあるブリリアント・セーフテックの社長、べアール氏だ。結構なやり手だよ」
「はは、お前に言われちゃ皮肉にしか思えんがな!」
「で、何でそんなところから? イベントコンパニオンに転向したとは知らなかったが」
「おいおい、冗談きついぜ。このボン太君はれっきとした兵器! 次世代を担うパワードスーツさ!」
「これが……? ああっ、ヨナ! そんな暗い顔しないで! ほら、飴を――飴をあげるから!」
それまでの輝きっぷりから一気に奈落の底に転落したヨナの表情を見て、ココが慌てたようにポケットからキャンディを取り出しヨナに与える。
「イチゴ味だ……」
菓子の甘さにヨナが平常心を取り戻すを待ってから、べアール社長は『次世代型パワードスーツ』について説明を始めた。
「知り合いの傭兵と共同開発したもんでな。豊富な各種センサに、ライフル弾さえストップする防弾性能!
おまけにASのパワーアシスト機能を応用して、着用しても重さを感じずに俊敏に展開できる!」
「それだけ聞くと、結構な性能に思えるけど……それにしちゃ、閑古鳥が鳴いてるね」
「痛いところをついてくれるな……その通り。これはいけると思ったんだが、何故かさっぱり売れなくてな。
例の傭兵に半分は引き取らせたんだが、それでも赤字なんでアフリカくんだりまで行商に来たってわけさ。泣ける話だろ?」
「で、ここでも相手にされないと」
「見ての通りな……なあ、ヘクマティアル。恥を忍んで聞くが、ボン太君は何故売れんのだと思う?」
(外見だろ)(形だな)(モチーフの問題でしょ……)(これを着るのはちょっと)(このガワじゃな)
ココの背後に控える私兵たちの心はひとつだった。が、さすがにココの商売相手になるかもしれない人物に向かって、直接言うのは憚られたので、黙っている。
そんな私兵たちを余所に、やれやれ、とココはかぶりをふってみせた。
「べアール。そんなことは一目瞭然だろうに……」
「なにっ!? 分かるのか!? 教えてくれ、ボン太君の一体何が!?」
食いついてきたべアール社長に、ココは胸を張って自信満々に、
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