ヒロインの最期
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11:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 19:43:54.10 ID:dPfg/dp20

『アンタにそんなことは出来ないし、やった所で平和を知らない貴方が何を統治するの?』

僕なら出来る。いや、やらないとダメだったんじゃないか?
本当は、それが僕の戦ってきた責務を果たすことだったのでは――

『約束したでしょ?この戦いが終わったら、皆と一緒に生きるんだって。
アンタはまず、自分で守った平和な世界を生きなさいよ!
それが出来たら、王にでもなんでもなれば良いじゃない……』

……だったかな?プンプン怒鳴って叱られた気がする。
生きてみたら、それはもう何も出来なかった。
君の言葉は正しかった気がする。

僕に残っていたのは「力」だけだった。
戦う「力」、何者をも打ち倒せる「力」。
誰よりも強く、誰しもの想いが力になって、僕に敵はいなくなったのだ。

一つ間違えてしまえば、僕はあの魔王よりも世界を支配出来たのだろう。
平和とはほど遠い存在、僕がいない方が世界にとって安心出来る道理。
平和の為に戦って、世界を救った僕が、「力」という恐怖の象徴になる存在の矛盾。

誰もが僕から離れて行った。
そうして僕も、世界から遠ざかるほど……僕は生きることが難しくなっていく。
そんな勇者の苦悩を君が……ああ、君が――


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