294: ◆Bc4KZX4MNU[saga]
2021/08/28(土) 22:47:16.16 ID:zsCwlIW10
「……ごめん」
「っ」
頭を横に振る良子の瞳からは涙がこぼれ続ける
スカートにシミが広がっていく
そっと、片手を離した京太郎がハンカチを取り出してその目元を拭った
「色々……トシさんがしてくれたんだと思う。きっと大沼さんとか……も」
協力してくれたのはきっと、松実露子もだ
彼女は自分と同じ霊だ。本質こそ違うものの、きっと彼女もまた
「一つ一つ、色々な場所に俺を“呼び戻すナニか”を散らせて、きっと」
「京太郎、なんですか?」
「イエス、俺は須賀京太郎……」
そっと、良子の手を自分の頬に寄せる
ひんやりとした手の平を頬で感じつつ、彼女の顔を見れば、夕焼けに照らされてかほんのりと赤い
なにがどうだとか、細かく考えるのは性に合っていない
ただ目の前の現実を噛みしめるのみだ
「戒能さん、いや良子さん……」
「は、はい」
「俺は」
ガチャリと、音がすると同時にゴンドラの扉が開く
「え?」
京太郎と良子の二人と、係員の眼が合う
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