1: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/11/18(土) 06:02:26.43 ID:pc666ZQu0
鳴り響く不快なアラーム音によって、僕の朝は強制的に始まる。
枕元でがなり立てるスマートフォンを手に取り、画面をタッチしてアプリを停止。目覚まし時計を模したアイコンが消えて、薄らとした明かりの中に現在の時刻が浮かび上がる。
○四三○……即ち、午前4時30分。
すっかり肌寒い日が増え、そろそろ秋と冬が鬩ぎ合いを始める季節。この時間太陽はまだ水平線から顔を出しておらず、外は暗い。
カーテンを開けても意味が無いことは明かなので、そのままスマホの明かりを頼りに眠い眼を擦りながら寝室の入り口まで歩き電灯のスイッチをONに。クリーム色の文明の光が満ちて、ベッドと鏡台と冷蔵庫だけの殺風景な室内を照らし出した。
「…………眠い」
食欲・性欲と並んで三大欲求に数え上げられ、古来より“眠らせない”という拷問が存在する程度には人間にとって睡眠は重要な行為だ。
「時間遅滞剤、開発まだかなぁ……」
故・手塚治虫先生が描いた【処刑は3時に終わった】というホラーテイストの短編漫画で出てきた、体感時間を極端に遅くするという効果を持つ薬。勿論架空の存在だけど、これがあれば大分僕の睡眠事情が改善されるのにと朝地獄の苦しみと共に目を覚ます度思ってしまう。
SSWiki : ss.vip2ch.com
130Res/128.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20