3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2017/11/16(木) 00:56:56.06 ID:4TBLGcT+0
○
そんなある日、いつものように体育館で練習していたときのこと。
相手のシュートが外れ、リングの上でボールがぐるぐると回る。
落下点に目星をつけて、大きく跳んで手を伸ばす。
見事ボールをキャッチして、着地。
背後で誰かが言った「ナイスリバン!」という声に少し、にやっとしてしまう。
相手にボールを奪われないように片足を軸に体を動かし、隙を探す。
ここだ、と思った瞬間にフェイクを入れてドリブルを開始したところまでは良かった。
良かったんだけれども、踏み出した足がずるっと滑り、あたしは大きく尻もちをついた。
てーん、てーん、という音を立てて、せっかくキャッチしたボールはコートの外へと出て行く。
あーあ、やってしまった。
「大丈夫?」と駆け寄ってくれたみんなに「ごめん……」と謝った。
そうして、ここらで一旦休憩にしようか、ということになって体育館の舞台に腰かけたところ、褒め殺しにあった。
「奈緒、めっちゃ上手になったよね。いつの間にかピボットも使えるようになってるし」
「ほんとほんと、こっそり練習してたりする?」
「ゴール下、さっき私負けたしね」
「それは現役としてどうなの」
やいのやいのと褒めまくられて、たじたじだ。
こうまで褒められると、どう返していいかわからず、あははと笑うしかなかった。
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