12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2017/11/16(木) 01:05:44.39 ID:4TBLGcT+0
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自室に戻って、箱からシューズを取り出して靴ひもを通していく。
右、左、右、左と紐が交差していく様は、なんだか靴に命を吹き込んでいるみたいで、どきどきした。
靴ひもを通し終え、おそるおそる履いてみる。
足全体をすっぽりと包みこんでくれて、ぴったりと足に馴染む。
見た目はこんなにもゴツいのに履き心地は軽やかで、いつもより速く走れそうな気さえする。
ぎゅっと靴ひもを結んで立ち上がって、ぴょんと跳ねてみたら、着地の衝撃が思った以上に少なくてびっくりした。
ふと、いつか教えてもらった滑らなくなるおまじないを思い出す。
左手をごしごしとTシャツで拭って、試しに靴底を撫でた。
滑り止めのごつごつした感触が手のひら全体に伝わって、少しくすぐったい。
控えめにフローリングに打ち付けると、あの音が響いた。
きゅっ。
そのすぐ後で、キッチンから「こら!」という声が飛んできたのは言うまでもない。
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