13: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2017/11/16(木) 01:06:17.48 ID:4TBLGcT+0
◆
あたしがダンスシューズを手に入れて何日かしたあと、いよいよレッスン漬けの日々が幕を開けた。
毎週、プロデューサーから送られてくるスケジュールを手帳に書き留める。
まだレッスン以外の予定を書き込んだことはないけれど、いつか目が回るくらいの予定でこの手帳が埋まる日が来るといいな、と思った。
レッスンは基本的に週に三日で、曜日はまちまち。なんだか習い事とか、部活とか、そんな感じだなぁ、なんてことを思った。
内容は大きく分けてボーカル、ダンス、ビジュアルの三つ。
初めはビジュアルってなんのことだろう、とよく分からなかったが、どうやら主に演技のことを指すらしかった。
好き嫌いしている立場にないことくらい重々承知の上だけど、あたしはダンスレッスンが一番好きだった。
楽だから、じゃない。
というか、楽かどうかで言えば、ダンスレッスンは一番きつい。
でも、一番好きだった。
理由としては、目に見えて上達が分かるから、というのが大きい。
さっきまで踏めなかったステップができるようになったときだったり、振付が頭に入ってきて自然に体が動いたときだったり、そういう瞬間に、成長を実感できる。
あとは、そう。
あの音がお気に入り、ってのもちょっとだけある。
シューズを手でなぞって床に打ち付けるアレ。
体育館シューズでは控えめな音しか鳴らなかったあの音だ。
あたしにとって、アレは気合を入れるおまじないになっていた。
37Res/29.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20