42:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 19:54:47.14 ID:AW4FyFFm0
ガォン! というすさまじい音とともに大きなクレーターができあがる。
縛り付けていた縄を椅子ごと粉々にぶちこわして、俺は空高く飛翔した。
くるりと中空で一回転するお決まりの動作で、有香のすぐ隣に着地する。
「プロデューサーさんっ!」
心配をかけたな(むがむがむがむが)。
だがもう大丈夫だ(むがむがむがむが)。
有香が口に付いたガムテープをぺりぺりとはがしてくれた。どうも。
しばし俺たちは見つめ合う。何か言うべきことがある気がする。
すでに共鳴しあっているのだから、会話なんて必要ないのかもしれない。
だが彼女は俺を救ってくれた。口に出して言わなくては。
気を利かせた一言を、彼女を落とす必殺のセリフを。いけ。
「――ありがとう、有香」
再び彼女の手を握る。やはり優しくて、暖かい。
すまない俺にはこれが限界だ。だからどうか許してほしい。
危急の時なのであんまり頭が回らないのだ。
ところが彼女といったら破顔一笑。満面の笑みをたたえて俺を見上げていた。
握られた手に力がこもる。この距離だとまつげが長いのがよく分かる。
「はいっ……はいっ!」
振り切れるんじゃないかという勢いで有香の首が上下する。
毎回ツインテールが遅れてついてくるのが微笑ましい。
これこそが俺のよく知る中野有香だ。カワイイ彼女を取り戻せて本当によかった。
よし、これにて大団円。閉廷!
「ジャアアッ!!」
うるせえな。
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