41:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 19:52:19.04 ID:AW4FyFFm0
"流天十勁"は"明"と"冥"の二つの技を持つと言ったが、実は例外がある。
"万天響命"だけはただ一つ"明"と"冥"の区別を持たないのである。二転三転して申し訳ない。
つまり、"万天響命"は"万天響明"であり、そして"万天響冥"でもあるのだ。
万物の流転だけは時刻時節の境を持たずに常にそこに在ることを示している。
では、"流天十勁"は十の技、最大の奥義とは一体何か?
それは"万天共鳴"だ。
心を通わせた一心同体の二人にだけが可能な超絶技巧。
甲が乙を、乙が甲を互いに響かせ合いながら音叉のように共鳴させる。
絶え間ない正のフィードバックがそこにあり、増幅がまた増幅を呼んで、ネズミ算式に両者の勁を積み上げていく。
その増加量は単なる万天響命とは比較することすらおこがましい。
指数関数的な上昇は、いつでも線形な変化のはるか上を行く。
これまで数多くの達人がこの技の習得を試みてきたが、いずれも失敗に終わっていた。
達人とはいつの日も孤独であり、また孤高な存在であったからだ。
彼らは木や水とは通じていても、ついに一人の人間も理解することができなかった。
そう、在りし日の俺のように。
"孤龍戴天"と呼ばれ、あてもなく天をさまよっていたあのときの俺のように。
だが。
俺はこの暖かい勁に心当たりがあった。
噴水の夜、俺は確かにその手を握っていたのだから。
俺は逃げ出したのに。責任を放棄したのに。
目の前であんなに嘘をついたのに。見捨てたのに。
――それでも有香は、俺を信じてくれていたのか。
勁の増幅が止まらない。俺たちは共鳴する。
有香の勁が俺の体を循環し、全身にすさまじい力がみなぎってくる。
丸眼鏡は突然パワーアップした有香の姿に戸惑いを隠せないようだった。
攻撃を試みながら、それでも次の一歩を踏み出せないでいる。お前はつまり、その程度だ。
俺はもう逃げない。俺の居場所はここにある。
彼女の隣が定位置だ。"孤龍戴天"、いまこそ返上するときだ。
よく聞け。
俺は、中野有香担当、プロデューサーだ。
"雷天脱兎"、"明"。
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