モバP「中野有香と怪しい武術プロデューサー」
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23:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 19:16:21.61 ID:AW4FyFFm0

――


さて。

もうしがらみはない。

背後に不穏な気配を感じた。
尾けられている。それも一人ではない。

あの日から一週間。そちらから出向いていただけるとは。非常に好都合だ。
大丈夫、今の俺に枷はない。さっそく"こと"に及ぶとしよう。

よくよく考えてみれば、交渉の場で敵意をむき出しにしていた俺を彼等が放っておくわけがなかった。
辞めようが辞めまいが、遅かれ速かれこうなる運命だったのかもしれない。

俺は周囲をうかがいつつ路地裏に身を踊らせた。
なるたけ狭いところの方がやりやすい。

埃をかぶったエアコンの室外機、横倒しになったでかくて青いポリバケツ。
薄暗い路地の中を一匹の黒猫が横切っていった。喧嘩にはおあつらえむきの場所だ。

でてこい。

ガタイのいい男が五人、指をポキポキと鳴らしながら現れた。
どいつもこいつも示し合わせたかのように眉根を寄せて俺をにらみつけている。
なるほど視力が悪いらしい。ここは暗いので仕方がない。

前の五人は雑魚だ。気になるのはその後ろ。

黒いスーツ姿の丸眼鏡。

長身痩躯、目も細い。他の奴らとは明らかに雰囲気が違う。
丸眼鏡の奥で三日月をひっくり返したように両目がつり上がるのが見えた。不気味な笑み。
あいつにだけは要注意だ。まとっている勁からしてただ者ではない。

「どこ見てんじゃコラァ!」

お決まりのセリフを吐いて雑魚の一人が殴りかかってきた。

"目にもの"見せてやる。



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