3:名無しNIPPER[sage]
2017/11/12(日) 17:04:07.60 ID:PAb0ZZtSo
傷つくことには慣れていた。
負けることには慣れていた。
笑われることには慣れていた。
手を前に突き出す。
肉付きの悪いほっそりとした腕を淡い肌色の皮膚。
足も同様だし、瞳はぱっちりとしている。
お世辞にも綺麗とはいえないそれを眺めて溜息をひとつ。
幸い、というべきか、私の心は歪まなかった。
何年も、いや、十数年間なのだろうか。
きっと、生まれてからずっと。
ただ、強靭な恋慕の、親愛の情だけが子供の頃から私を私たらしめていた。
胸を焦がす出処の分からない向ける先の分からない”それ”だけが。
その情が十数年の時を経て向ける先を見つける先を手に入れた。
不思議と笑みが溢れる。
――これは、きっと私がこれまで、これから手に入れるなかで最も強い幸運なのだろう。
そんなことを考えている時だった。
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