12:名無しNIPPER[saga]
2017/11/12(日) 21:26:17.86 ID:PAb0ZZtSo
「オムライスに描いたのは……なんだったか……」
少しだけ額に指を当てて、「あぁ、そうだ」と呟いてからプロデューサーは顔をあげる。
「確か、コアラだ」
…………ん?
あ゛ぁ?
「うーさぁーぎぃーでぇーすぅー!」
自然と喉元に言葉がせり上がってきたそれを、躊躇することなく吐き出す。
うさぎ。兎。ウサギ。うさ……。
……んぅ゛?うさぎって、なんで、……ありゃ?
自然、首を傾げる。
「なんで、私、うさぎって言ったんです?」
分からない、分からないけどどうしてだろうか。
濁流のような感情が胸の内を暴れまわるような、だけれど不快ではない。
むしろ元よりこうあったような――。
「あぁ、よかった」
そんなプロデューサーの安堵の声が耳に届いた。
「響子がわりかし五十嵐響子でよかった」
――いえ、普通に私は五十嵐響子だと思うんですけど。
そう口に出そうとして、やめた。
なにがあなたを苦しめているのか分からないけれど、それであなたが救われるならそんなこと、考えるまでもなくどうでもよかったですね。
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