76: ◆xJHI1D1Uro[saga sage]
2017/11/10(金) 17:08:59.10 ID:/aq2I7elo
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珍しく、ありすは遅刻した。
朝礼の時刻にも間に合わず、一時間目が始まる直前にようやく教室へやってきた。
すこし息を切らしている様子で、私が教壇から声をかけると、
「忘れ物、しちゃって……」と、短く答えた。
始業のチャイムが鳴ってもなおクラスはざわついたままで、私は手を叩いて授業の開始を告げた。
「はーい、今日は教科書最後のところ、ちゃちゃっと終わらせちゃうよー」
二月の下旬、いよいよ卒業を目前に控えて、授業はまるで消化試合のような趣だ。
クラス全体の落ち着きのなさは日に日にひどくなる。
が、一方で、きちんと授業に参加してノートを取る組もいる。
ありすもその中のひとりだったが、今日はなんだか上の空だった。
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