橘ありす「二人ぼっちのアリス」
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22:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:06:14.18 ID:/E20kLoAo
「あの、先生。……先生の名前、アリスっていうんですよね」

 ありすはもじもじとしながら言った。私はフフフと笑って、

「そうだよ。ありす……橘さんとおんなじ名前ね。
以下略 AAS



23:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:08:39.54 ID:/E20kLoAo
「昔はそうじゃなかったんですか? からかわれたり、しましたか?」

「うん。からかわれることもあったし、もっと別の、フツーの名前がよかったって思った」

「私も、そう思います」
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:10:04.15 ID:/E20kLoAo
「でもね、やっぱり昔はアリスって名前、嫌だったなぁ」

 高校のときの英語教師は、私をチャンピオンと呼んだ。
 それが嫌で嫌で仕方がなくて、なるべく目立たないよう目立たないよう、できることなら透明人間になりたいとさえ思っていた。
 それを変えたのは、同じクラスの男の子だった。
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:11:16.14 ID:/E20kLoAo
「そうなんですか」と、ありすはちょっと顔を赤らめた。「それで、その人は……?」

 まんざら興味がないわけではないらしい。私はフフンと鼻を鳴らした。

「いまの旦那さん」
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:14:17.70 ID:/E20kLoAo
「あなたは? 名前の由来」

「ええ。恥ずかしいんですけど、母に聞いたら……」

 ――と、そのとき、ありすのタブレットが、短く振動した。
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:15:59.42 ID:/E20kLoAo
「ただ、かわいいからって。それだけですよ」

 そのときの彼女の表情に、私は思わず言葉を詰まらせてしまった。
 私が12歳の頃、きっと同じ顔をしていたから。

以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:18:23.89 ID:/E20kLoAo
 ――――

 秋口、ありすと放課後を一緒に過ごすことが多くなった。

「母は心配症なんです」と、ありすはよく話した。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:02.69 ID:/E20kLoAo
「ううん、そんなことないよ。先生も、橘さんとお話できて、嬉しいもの」

「そうですか」と、ありすはやっと表情を和らげる。

 放課後、私たちはいろいろな話をした。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:42.29 ID:/E20kLoAo
「歌手に……」

 引っ込み思案な子だとばかり思っていたせいか、すこし意外な気がした。
 けれど、こうして接すると、もともとは活発な性格の子なのかもしれない。

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:21:20.65 ID:/E20kLoAo
「このあいだ、母に話したんです」

「歌手になりたいっていう夢を?」

「はい。オーディションを受けたいって」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:22:30.06 ID:/E20kLoAo
「だって、反対するじゃないですか、フツウ。
 歌手なんて厳しい道で、……それに、調べてみたら私の年齢じゃ、条件に合わないところも多くて」

「ああ、12歳だと受けられないところもあるのね」

以下略 AAS



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