13:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:29:34.87 ID:/E20kLoAo
「私が悪いんですか? 私が悪者だから、あの子を先に帰らせて、じっくりお説教っていうことなんですか?」
「ううん、そういうことじゃなくて、いろいろ聞きたいのね、先生。
……橘さんは、いつからタブレットを持ってきていたの?」
14:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:30:50.47 ID:/E20kLoAo
私はそれを聞いて困った。
確かに、連絡手段としてのスマホ、携帯電話は黙認に近い形で見逃されている。
小学生とはいえ、いまどき珍しくない。が、タブレット端末となると、ちょっと微妙なラインだろうか。
なにしろ、大きい。畢竟、目立ってしまうから、今日のように(良く言えば)正義感のある子を刺激してしまう。
15:名無しNIPPER[sage]
2017/11/09(木) 12:32:47.80 ID:gx0aw+sAo
それスマホでも同じこといえますよね?
16:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:43:20.29 ID:/E20kLoAo
「今日は、すこし遅くなるからって連絡をしたんです。ただそれだけですよ」
「うん。ありすちゃんの使い方に悪いところはないって、先生も思う」
「そうですよね」と、ありすはホッとしたようだった。
17:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:52:38.08 ID:/E20kLoAo
「あっ、持ってきちゃダメって、先生言ってるわけじゃないんだ」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「提案があるんだけど、……橘さんが朝、登校してくるじゃない?
18:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:56:00.73 ID:/E20kLoAo
「わかりました。それじゃあ、あの、そろそろ、いいですか?」
「うん、今日は遅くまでごめんね、さようなら」
「はい。さようなら」
19:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:58:03.39 ID:/E20kLoAo
いま、私が受け持っているクラスは6年生。
12歳――意外に大人びた部分と、まだまだ子供らしい部分とが入り混じる難しい年齢。
けれど、みんないい子ばかりだ。「アリス先生」と私を慕ってくれている。
思い返せば、ありすとまともに話をしたのは今日が初めてかもしれない。
20:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:02:45.80 ID:/E20kLoAo
――――
あれから、毎朝、ありすは約束通り私にタブレットを預け、放課後に受け取って帰る。
お願いします、ありがとうございました、といちいち丁寧な子である。
しつけが行き届いているのだろう。
21:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:05:01.77 ID:/E20kLoAo
「ええ、構わないわよ。どうぞ、座って」
私はパイプ椅子を取って、デスクの傍に置いた。
「あ、……すみません」
22:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:06:14.18 ID:/E20kLoAo
「あの、先生。……先生の名前、アリスっていうんですよね」
ありすはもじもじとしながら言った。私はフフフと笑って、
「そうだよ。ありす……橘さんとおんなじ名前ね。
23:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:08:39.54 ID:/E20kLoAo
「昔はそうじゃなかったんですか? からかわれたり、しましたか?」
「うん。からかわれることもあったし、もっと別の、フツーの名前がよかったって思った」
「私も、そう思います」
97Res/51.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20