92:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 01:21:23.65 ID:grI1dH9y0
割引券と店員のチョイスのおかげで、自分が想像していた額の倍ほど安く買い物は済んだ。
会計を済ませて店を出る前に、ふと思い立つ。
「ねぇ、サンディ。せっかくなら買った服を着て動物園に行かないかい?」
「宜しいのですか……?」
「うん、試着室もあるし、いいんじゃないかな」
「で、では、袖を通すのが勿体なくも感じますが、着てみます!」
購入した服が入った袋を抱きしめて、そのまま試着室に駆け出していく。
服のタグはレジで取ってもらっているので大丈夫だろう。
それからしばらく、試着室の奥から聞こえてくるのは「えーと、うーんと、これと……これと……」というサンディの声。
お洒落を楽しんでいるのか、声が弾んでいるのが分かる。可愛い。
それからしばらく後、カーテンの端からぴょこんと顔を出してきた。
「その、……着てみました」
「どんな服になったのか、楽しみにしてるよ」
僕がそう言うと、意を決したようにカーテンをシャッと勢いよく開けた。
彼女が選んだのは、フランネルチェックのシャツに、ガウチョパンツ。アウターに白いセーター。
清楚に納めてきたファッションだ。とてもよく似合っている。
「サンディ」
「は、はい」
「似合ってる、可愛いよ」
それを聞いた瞬間、勢いよくカーテンが閉まる。
そして奥から聞こえてくるのは「ふぅぅぅぅう〜〜……ふぅぅぅぅぅぅう〜〜!」と悶えるような声。
「だ、大丈夫!?」
「はい!大丈夫です! 大丈夫ですが、息ができないので少しだけお待ちください!」
「いやそれ大丈夫じゃないでしょ!」
「大丈夫です!!」
「は、はい……」
思わず押し切られてしまった。本当に大丈夫なのだろうか……。
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