88:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 00:24:13.16 ID:grI1dH9y0
銀行からぼちぼちの金額を引き落とし、そこから走ること更に十五分。
目的地の一つである場所に到着した。
そこは全国でチェーン店が展開されている洋服屋の一つで、様々なジャンルの服を取り扱っている。
店内を少し見渡すだけでもキッズ用の衣類は散見されており、これなら色々と見繕えるだろう。
彼女の気に入る服はあるかなと思い、ふと横をみるとサンディがいない。
慌てて探すと入ってすぐのドアで口をあんぐりさせていた。
店の広さになのか、それとも服の種類の多さにだろうか。
「お、大きいですね……」
「そうだね。君の好きな服が見つかるといいな」
「でも、私なんかがこんな贅沢をしていいのでしょうか、ご主人様……」
僕はサンディの鼻先を傷つけない程度に優しくちょこんと指先で弾く。
「サンディ、僕はご主人様じゃなくて?」
「は、はい、そうでした……」
何やらもじもじしている。恥ずかしがっている様子だ。
「お、……おにい、さん……!」
頬を真っ赤にしながら、彼女は告げる。これから口にするべき僕の呼称を。
そう言ってくれたサンディの手を軽く握る。手を繋いでいれば、なんとなく年の離れた兄妹に見えてくれるだろうか。
彼女は俯き加減の姿勢になり、表情が見えなくなってしまった。
長い髪から覗く耳の赤さと、僕の右手に伝わる体温の温かさが気になるところだが、まぁ今は置いておこう。
入口から動かす意味合いと、好きな洋服を選んでほしいという気持ちで、僕らは手を繋いで売り場に向かうことにした。
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