56:名無しNIPPER[saga]
2017/11/10(金) 00:13:00.19 ID:uuR+QXp40
「ところでさ、サンディ」
「ご主人様、どうされました?」
朝食を終えてホッと一息ついた頃。
僕は片手に朝淹れたコーヒーを、サンディはオレンジジュースを持って、
お互いソファに向き合うように座っている。
「僕をご主人様って呼ぶのはそろそろ止めてみないかい?」
「え……? でも貴方様は私を助けてくれた恩人なので、貴方のモノとしてこれから生きていくのが普通では?」
「いやまぁ、そりゃ確かに助けたのは事実だけどさ。君に奉公されたくて動いたわけじゃないんだ」
「では、どうして助けてくださったのですか?」
「どうして助けた、か。 うーん……」
これはまた難しいな。どうして助けたのか、とは難しい。
誰かを助けるのに理由はいるかい、などと言うのはヒーローみたいだが、ハードボイルドではないな。
いや別にそこ(ハードボイルド)にこだわらなくてもいいんだけれど。
どうして助けたのか。仕事のためだ。
でも、きっとそれだけじゃない。
仕事のためというのは後出しの理由だ。本音を言うなら、たぶん。
「助けたかったから、かな」
「……」
サンディは訝しんだ顔をしている。理由になっていないからだろうか。
そう取られても仕方ない。確かに論理的ではないからね。
でも、あの時自分に浮かんだ感情なんて、そりゃもうシンプルなもの。
助けたかったから。
人の手を取る理由なんて、そのくらいの緩いスタンスで良いと僕は思うんだ。
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