52:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 23:34:17.71 ID:o6ummrG70
気まずい雰囲気の際は時が止まる、というのは比喩表現ではなかったようだ。
自分の手には拳銃、目先には土下座スタイルの少女。外からうっすら聞こえてくる鶏の声。
体感的にだが、今たぶん確実に時間は停止している。凄まじい空気が部屋に漂っているぞこれ。
何なのだこれは、どうすればよいのだ。
一体どうやって声をかけようかと寝起きの頭を無理やり動かそうとする前に、彼女はゆっくりと頭を上げた。
そして、絞り出すように声を発する。
「……ご主人様より先に眠ってしまい、あまつさえ、寝室を占領するような体たらくで申し訳ありません」
一気に肩の力が抜けた。溜息をつきながら、ドアにもたれかかり、そのまま尻もちをついてしまう。
大事じゃなくて何よりだ。頭の中で思い描いた悪い想像が杞憂に終わってホッとした。
「いいよ別に、主従関係とか僕らにはないから気にしないで」
「ですが……」
「それより、サンディ。大事なことを一つ忘れてるよ」
「はい……?」
「おはよう。良い朝だね」
目の前の少女は目をまん丸にして、狼狽しつつも手元の枕を抱きしめる。
そして、とっても照れくさそうに、恥ずかしそうに、言葉を返してくれた。
「お、おはようございます……!」
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